業界、職種、待遇だけ見ていては叶わない
あなたとマッチする企業と出会うために
注目すべきふたつの観点
〜悩める就活生、“採用エンゲージメント”に出会う〜
※前編・後編の2回に分けて掲載します
後編はこちらから
「自分に合う企業に就職したい」と就活生なら誰でも願うもの。
でも、それは決して簡単ではありません。 企業の選び方に迷いを抱える就活生もたくさんいるでしょう。
――私は、2024年卒の就活生。企業研究やインターンシップに大忙しの毎日。
憧れの業界、気になる職種、給料やお休み、などなど。
あれこれ見ているけれど、どの企業が自分に合うのか判断ができない…
「あなたと企業のマッチ度は○%です」って数字で出たら楽なのに。
情報ばっかり増えても、どう整理したらいいかも分からないよ…
あぁぁぁ、企業ってどうやって選んだらいいの???
D どうやらお困りのようですね。私がアドバイスをしましょう。私は伊達洋駆と申します。企業と求職者のベストマッチを生み出すお手伝いをしています。自分に合う企業を選びたいと願うあなたには、ぜひ“採用エンゲージメント”という考え方をオススメさせてください!
――採用エンゲージメントとは何でしょうか?
ベストマッチの鍵は“カルチャー”と“ジョブスタイル”
14のものさしで企業の風土と働き方を測定
D はい、採用エンゲージメントです。人事の世界には、企業とその従業員の良い関係を生み出す“従業員エンゲージメント”という考え方があります。これを人材採用に応用したのが“採用エンゲージメント”。新卒採用でいうと、企業と学生のみなさんが良好な関係を築くために使える概念です。
誰だって、自分に合う企業に入りたい。その考えは企業も同じこと。相性の良いフィットする相手を見つけるのが、就活の成功につながるのは間違いありません。
では、なにでフィットするのがいいと思いますか?企業のどこを見ていますか?
――うーん、業界や職種、希望する待遇かどうかとか…。調べやすくて、他社と比べやすい情報ですし。
D そうでしょうね。でも、採用エンゲージメントは、ちょっと違うところに目を向けるんです。
大切なのは、“カルチャー(風土)”と“ジョブスタイル(働き方)”。
カルチャーとは、「社員の成長を重んじる」「仲間の関係を大切にする」など、企業の風土や職場の雰囲気に注目する視点。
ジョブスタイルとは、「仕事の難しさ」「誰と関わるか」「どんなツールを使うか」など、働き方への理解を深めるための視点。
「同じ業界、職種、会社規模、待遇なら、どこも同じような職場」だと思っていませんか?
それは大間違いなんですよ。基本的な情報が似ていても、企業ごとに環境は異なり、入社後の居心地のよさも変わります。どんなに事業や待遇が魅力的でも、居心地が悪く、働きづらいと感じてはストレスが溜まりますよね。
――たしかに。考えたことのない視点でした。 でも、風土や働き方って、働いてみないと分からなくないですか?
D いい質問です!そう、カルチャーやジョブスタイルは、見えにくいものなんですよ。なぜなら、実態が違うのにみんな同じような言葉を使うから。
例えば、「みんなイキイキと働いています」なんてよくある表現です。けれど、この “イキイキ”の実態は職場によって全く別のもの。あなたに合う“イキイキ”も、合わない“イキイキ”も世の中にはあるでしょう。
そこで私たちは、採用エンゲージメントを実現させるために、求職者のものさしとなるモデルをつくってみました。どんなカルチャー、ジョブスタイルかはっきりする7つの観点をそれぞれに設定しています。それは次の通りです。
<カルチャーの7モデル>
成長重視風土 成長志向の従業員は多いか
関係重視風土 支持的な人間関係があるか
革新重視風土 アイデアが飛び交っているか
安定重視風土 秩序が維持されているか
伝統重視風土 ルールが守られているか
競争重視風土 競争意識を持っているか
細部重視風土 細かいやりとりがあるか
<ジョブスタイルの7モデル>
仕事難易度 様々な技能が必要な仕事か
相互作用度 働きぶりの情報が得られるか
社外関係度 社外の知り合いは多いか
独自要請度 アイデアの独自性が求められるか
体力負荷度 慣れるまで身体的に疲れるか
機器利用度 新しいツールを使っているか
相互調整度 ひとりのミスが他の人に影響するか
D 企業をこの14の項目で評価すると、それぞれのカルチャーとジョブスタイルが見えてきます。私たちは、多数の企業への調査を実施し、これらの項目を数値化できるツールの開発も進めています。同様に求職者のタイプを測るツールも作成しており、ゆくゆくはお互いのデータを照らし合わせたマッチングも可能となるでしょう。まさに、あなたと企業のマッチ度を示すことができるデータです。
――すごい!会社選びで役立つと思います。
D ちなみに、あなたはどんなカルチャー、ジョブスタイルがいいと思いますか?
――できるだけ社内でのコミュニケーションが活発な企業で働きたいです。
D それなら「関係重視風土」や「相互作用度」が大事な項目ですかね。この2つが高い企業かを確認した上で、その他の項目をチェックすれば、マッチングの精度を高められますよ。 例えば、その2項目プラス「革新重視風土」でもあれば、社員同士どんどん意見を出し合い、新しい事業に挑戦していくような働き方が想像できる。あるいは、その2項目と「機器利用度」が高いと、アナログなやり取りだけでなくデジタルコミュニケーションも盛んなイメージが浮かぶ。同じ「社員同士の関わりを大事にする企業」でも、違いが明らかになれば、どちらの職場がより自分に合うかを考えられますよね。
協力
株式会社パフ
http://www.puff.co.jp/
株式会社ビジネスリサーチラボ
http://business-research-lab.com/
代表取締役 伊達 洋駆
神戸大学大学院経営学研究科 博士前期課程修了。修士(経営学)。2009年にLLPビジネスリサーチラボ、2011年に株式会社ビジネスリサーチラボを創業。以降、組織・人事領域を中心に、民間企業を対象にした調査・コンサルティング事業を展開。研究知と実践知の両方を活用した「アカデミックリサーチ」をコンセプトに、組織サーベイや人事データ分析のサービスを提供している。