理系学生の就職活動は、自由応募が基本の文系学生とは異なる点がたくさんあります。就活情報の多くは自由応募の就活を前提として発信されていることが多く、理系学生の皆さんは注意が必要です。そこで今回は、理系学生の就活の全体像と、選考本番までの準備を中心に詳しく解説していきます。

就活の方法は、推薦と自由応募の2つ。最近は選択肢が広い<自由応募>が人気に。

理系学生の就活と文系学生の就活の違い

理系学生の就活には、学校推薦応募と自由応募の2つの応募方法があります。まず、学校推薦応募は、大学や教授が推薦枠を持つ企業に学生を推薦する方法。自由応募は、志望企業を自分で探し、採用選考にエントリーし内定を得る方法で、いわゆる一般的な就活ルート。文系学生の多くがこの応募方法で就活を進めています。

在学中に研究室に入る理系学部の学生は、学校推薦応募を選択するケースが多い傾向にあります。応募や選考の流れは大学や教授によって異なるため、学校推薦を受ける場合は、説明をよく聞いた上で具体的な指示を仰ぎながら動くようにしましょう。

一方、最近では、より自由に業界や企業を選びたいと考え、自由応募を選ぶ理系学生も増えつつあります。こちらの場合は、文系学生と同じ、一般的な就活ルートを進めていくことになります。積極的に情報収集をするなど、主体的に取り組むことを心がけていきましょう。

就職先は理系企業一択?文系企業に転換という選択も

次に、志望業界・企業について考えてみましょう。理系学生だからといって全員が理系企業に就職するわけではありません。なかには<銀行・保険・証券などの金融系>や<商社><コンサルティング><マスコミ>などの文系企業や、文系職種に就きたいと考えている人もいると思います。そこで<理系企業を志望する場合>と<文系企業を志望する場合>に分けて、それぞれのポイントと注意点を確認していきましょう。

理系企業を志望する場合

自分が大学・大学院で選考している分野に関連する分野の企業を目指す場合、多くは理系企業を志望する人が多いはずです。業界としては、機械、電気(エネルギー)、電子、情報、化学、薬学、建築などがあります。選考では、人間性や資質といったその人に本来備わっている能力はもちろんのこと、技術職や研究職、開発職を目指す場合はとくに、在学中に習得した基礎学力のほか、研究を通して身に付けた専門知識や技術が重視されます。所属学部を限定する企業がある一方、学部を問わず広くエントリーを募っている企業もあるため、自分の選考分野と志望企業の事業内容が関連していなければならないということはありません。

文系企業を志望する場合

理系学生が文系職種に進むのは珍しいことではありません。選考の場では、文系学生が大半を占める中で理系学生は存在感があり、それだけでも有利と捉えることができます。理系学生が得意とする論理的な思考は、文系企業の中でも大いに活かせる強みですし、そのスキルや能力を求める企業は少なくありません。ただし注意したいのは、文系企業への就活は、多くの場合自由応募となることから、エントリーから内定までに選考回数が多くなります。卒業研究が忙しい人は、その点も覚悟して臨むとよいでしょう。

理系就活のスタート時期は?スケジュールは?

就職活動は、選考が始まる前に業界研究や企業研究、自己分析、卒業生訪問など様々な準備が必要です。そのため、学校推薦応募/自由応募に関わらず、早い段階から情報にアンテナを立てたいものです。例えば、3年の4月頃から就活準備に取りかかり情報収集をする習慣を身に付けておけば、インターンシップのエントリーに乗り遅れる心配もないでしょう。4年になる直前の3月には企業説明会が続々と開催されます。選考解禁は文系学生と同じ6月です。ただし全体的に早期化の傾向にあるため、志望企業の動向を個別にチェックして臨みましょう。

完璧な自己分析で、勝ち組になろう!

技術職、研究職、開発職を志す場合、まずは在学中の研究を通して習得した専門知識や技術がまず一番の強みになります。ただし、企業の担当者は、どのような研究をしてきたのかを知りたいわけではありません。重要なのは、研究を通して<どのような知識や技術を身に付け>、それを<将来または企業で、どのように活かしたいと考えている>のかという点です。企業が知りたいと望んでいることに対して的確に分かりやすく答えるためには、入念な準備が必要です。自己分析と企業研究は欠かせません。

理系企業志望の自己分析ポイント

  • 現在の学部・学科に進学しようと思った理由、きっかけ
  • 入学前に思い描いていた夢や目標。志望する分野のイメージなど
  • 大学・大学院で取り組んでいる研究について(テーマ、目的、具体的な内容)
  • 研究活動を通して学んだこと(学術的・技術的な内容のほかに、思考の仕方、他者との関わり方、物事に取り組む姿勢、失敗から得たものなども)
  • 一人の技術者として思い描く将来ビジョン(どのようなものを作りたいか、どのような仕事に携わり企業や社会に貢献したいかなど)

理系企業の面接は、必ず技術職の社員が同席するとは限りません。研究の内容を伝える際には、専門的な用語を多用せず、わかりやすく伝えられるようにかみ砕いて伝えられるようにしておきましょう。

文系企業志望の自己分析ポイント

文系企業志望の場合は、理系企業志望の自己分析ポイントに加えて

  • なぜ研究分野とは異なる分野を志望したのか
  • 大学・大学院在学中の研究・経験も含めて、これまで培ってきた自分のスキルや能力は何なのか。それを新しい分野・志望企業でどのように活かしたいと考えているか。
  • 自分のどのような能力が、どのように志望企業や社会に貢献できると考えているか。

上記3点についてもよく考えてみましょう。

人事担当者が「君はなぜ専門分野に進まないの?」と思うのは自然なことです。もし、自分の進路を変えたことにもし引け目を感じることがあるとしたら、それはナンセンス。自分の能力や特性と向き合い、自分を活かせる分野を見つけることができたからこその方向転換。それは評価されるべき強みです。自分の選択に自信を持ちましょう!

理系学生だからこそ企業研究はより深く

最後に、理系企業を志望する場合はとくに、研究で身に付けた専門知識や技術が重視されます。企業側は、自社のどのような製品・サービス、もしくは部署で、その能力が最大限に活かせるのかを見極めたいからです。そのため、みなさんは志望企業の強み、製品、事業展開など、あらゆる軸から理解を深めておく必要があります。企業研究が入念にできていれば、自分の能力をどのように活かすことができるのか、どのような形で企業に貢献できるのかが、自ずとイメージできるでしょう。それが、選考での大きな強みになるはずです。理系学生の就職活動については、こちらのページでも詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください!