
せっかくなら有名で、安定していて、人気のある大企業へ、と思う人が多いかもしれませんが、その判断は正解でしょうか。自分が大企業に向いているかどうかは、少し立ち止まって考えてみる必要がありそうです。そこで、大企業と中小企業、それぞれのよさ・魅力に着目しました。どちらが自分に合っているか、ぜひこの記事を参考に検討してみましょう。
固定された価値観を捨ててみよう!
選ぶべきは「自分に適している」と思える企業
そもそも大企業と中小企業の定義とは
まず、大企業という言葉から想起するのは、
- 資本金が多額である
- 多くの従業員を雇用している
- 国内はもちろん、国外にもネームバリューがある
一方、中小企業は、
- 地元密着
- 従業員が少ない
- 専門性の高い事業、得意分野に特化した事業展開 など
これらはあくまで一般的なイメージです。実際のところは、大企業についての明確な基準はありません。中小企業については『中小企業基本法』という法律で、その基準や要件が明文化されています。つまり、大企業は法律で定められた中小企業以外で、規模の大きな企業を示すと考えて差し支えないでしょう。
参考までに、企業の分類には“大手企業”もありますが、こちらも同様に明確な定義はなく、先述した大企業と同様のイメージで使われています。そのほかに、大企業と中小企業の中間にあたる中堅企業や、中小企業よりも規模の小さい小規模企業者(零細企業)。企業規模には関係ありませんが、上場企業やベンチャー企業もあります。
参考:中小企業庁ホームページ「中小企業・小規模企業者の定義」
それでは、それぞれの長所や魅力に注目していきましょう。
大企業のいいところ

(1) 大きなプロジェクトにたずさわることができる
社会的な影響を肌で感じることのできる仕事や、海外企業との取引、内容も予算もスケールのある仕事などにたずさわることができます。業務上では取引先の数、社内外を通して関わる人が増えることも多く、自分の能力が試される醍醐味もあります。
(2)福利厚生の充実・年間休日が多い
企業によって差はあるものの、社宅や住宅手当、レジャー施設の割引制度などのほか、カフェのような社員食堂や本格的なトレーニングルームといった社内施設を備える企業もあります。また、年間休日も会社規模が大きくなるほど日数が多い傾向にあります。
(3)将来性が高い、安定が得られる
国内外で一定の市場を獲得している大企業は信用度が高く、将来性が期待できます。一社員の生活も安定を得られると考えられるでしょう。ただし、転勤や異動の可能性は、中小企業に比べて高めです。
(4)人材育成に注力、スキルアップが望める
新入社員に対する研修や教育のほか、キャリアに応じたスキルアップを推奨する制度を整えた企業が多くあります。評価・昇進についても一定のガイドラインを設け、キャリアアップを支援する制度を整えています。
(5)平均給与が高い傾向にある
ボーナスや各種手当、昇給なども含めると、平均給与は大企業が高くなる傾向です。これは会社の利益の大きさに関わるところが大きいと考えられます。
(6)社会的信用度、ステータスがある
企業の社会的信用性が高いと、働いている社員も同様に信頼を得やすい傾向にあります。例えば、住宅ローンが組みやすくなるなど、転職時の経歴として有利に働く場合があります。
中小企業のいいところ

(1)アットホームな社風の企業が多い
小さな組織だからこそタテヨコの距離が近く、風通しの良さを感じられる職場が多く見受けられます。社員同士はもちろん、他部署との連携も取りやすいことが、人間関係の良さにもつながっているようです。また、会社の一体感を感じられるのも中小企業の特徴です。
(2)幅広い仕事に携わることができる
入社後、早い段階で仕事を任されることが多く、実践を通して仕事を学ぶという側面を重視する傾向があります。また、従業員数が少ない場合は、一人が複数の業務を受け持つケースもあります。社員は成長が早く、能力や実績が認められれば決裁に関わる仕事も任されます。「リーダーシップをとって仕事がしたい」「自分の裁量で仕事を進めたい」という人にとってはやりがいを感じられると言えそうです。
(3)経営者との距離が違い
企業の規模が大きくなるほど、社員が社長と対面できる機会がほとんどないと言います。ですが、中小企業の場合は、同じフロアに社長室があるなど、社員との距離が比較的近いのが特徴です。なかには、希望したその日のうちに話の場を設けてくれる場合も少なくありません。また、企業の理念や社風が、職場の雰囲気に色濃く表れているのも中小企業の特徴です。自分の考え方や価値観とマッチすれば一層やりがいを感じられるでしょう。
(4)アイデアを形にしやすい
経営層や役員との距離が近く、定期的に社長面談を実施する企業もあります。自分のスキルやアイデアを提案するチャンスに恵まれているため、夢を実現できる可能性も高いと言えます。
(5)昇格、昇進が早い
中小企業の場合、社員の実績によって柔軟に評価を行うことが多い傾向です。競争相手が多く、規定の昇格ルートがある大企業より早く責任のある立場にキャリアアップできることも多いようです。
(6)会社の現在・未来を客観視できる
経営層や部署間との距離が近いということは、事業の動きや財務状況など、会社の全体像を把握しやすい環境とも言えます。経営者が<いま何を考え、これからどのような舵を切るのか>を知ることは、自分自身が何のために今この仕事をしているのかという意識にもつながり、仕事の満足度も高まります。
ここでは大企業と中小企業という大きな分け方で比較しましたが、あくまで全体像として捉えるのがよいでしょう。企業は一社ごとにそれぞれの良さがあり、大企業の<いいところ>に秀でた中小企業もあれば、中小企業のいいところを兼ね備えた大企業もあります。最終的には志望する企業について、よく知ることが大切です。
どちらを選ぶかは、あなた次第
自分と相性がよいのはどちらなのかは、自己分析を通しておのずと答えが分かるかもしれません。
それでもどちらを選ぶか迷った時は、できれば早い段階で、規模の違う企業の説明会に参加してみることです。自分の志望する業種の<大企業・中堅企業・中小企業>の説明会に、ひと通り参加してみましょう。説明会だけでも雰囲気の違いがよく分かります。どれぐらいの規模感が自分に合っているかを確認し、自分に合った企業を探してみましょう。
ただし、企業選びを成功させるためには、自分自身をよく分かっていることも必要です。やりがいや、やりたいという気持ちだけを優先した選び方はおすすめできません。どれだけ魅力に溢れる仕事だったとしても、そもそも自分が得意とする業務でなければ、長くやりがいを持って働くことはできません。長く勤めることがすべてではありませんが、念頭に置いて選考に進むようにしましょう。みなさんにとって最良の選択ができるよう応援しています!