2025年卒以降の学生の就職活動において、インターンシップの在り方が大きく変わります。制度の改正により、その定義をはじめ、時期や内容にも基準が設けられました。応募の前に、これまでと何が違うのか、また参加にあたって気を付けておきたいポイントをチェックしておきましょう。

選考を優位に進めるなら必須!?
インターンシップが大きく変わる!

「インターンシップの推進に当たっての基本的考え方」とは

学生が仕事や職場を知る機会として、各企業が行っているインターンシップ。就職活動に対するイメージを膨らませ、自分のキャリアを考えるきっかけになるほか、企業にとっては新しい人材の育成という側面もあり、各社がそれぞれの特色をもって、その機会を提供しています。

今回の改正では、
インターンシップの定義が明確化され、
②2025年卒以降の就職活動については、一定の基準に満たす内容のインターンシップで企業側が取得した学生情報を、就職活動解禁日の3月1日以降、広報活動や採用選考活動に活用できるようにする。
と変更されました。

まず、今回の焦点のひとつ「インターンシップ」の定義とは

改正にあたり、インターンシップは、「学生がその仕事に就く能力が自らに備わっているかどうか(自らがその仕事で通用するかどうか)を見極めることを目的に、自らの専攻を含む関心分野や将来のキャリアに関連した就業体験(企業の実務を経験すること)を行う活動(但し、学生の学修段階に応じて具体的内容は異なる)」と定義されました。適性や汎用的能力、さらに専門性を重視したプログラムを通して、学生が自らの能力を見極め、企業側は学生の評価材料を取得することが主な目的です。

次に、最重要ポイント!「学生情報の活用」が可能に

新しい定義と共に、大きく変わるのは「学生情報の活用」についてです。
これまでは、文部科学省、厚生労働省、経済産業省の3省が定める「インターンシップの推進に当たっての基本的考え方(平成27年最終改訂)」に基づき、インターンシップで取得した学生情報は、広報活動や採用選考活動に使用してはならないとされていました。(※1)それが、今回明記されたインターンシップの要件を満たしたプログラムの場合、就職活動解禁日以降、学生情報の活用が可能となったのです。つまり、インターンシップの参加の有無や取り組み方や姿勢が、評価の対象となりうる可能性があると知っておくとよいでしょう。

※1 情報解禁日以降、あらかじめ広報活動・採用選考活動の趣旨を含むことが示された場合は除く

【インターンシップの主な要件】
①参加期間は5日以上に及ぶこと
②参加期間の1/2以上の日数が就業体験に充てられていること
③実施場所は職場が基本
長期休暇中に実施する ほか

ただし、インターンシップは、企業の採用活動ではなく、あくまでキャリア形成の一環として実施されるもの。参加経験があっても、採用選考へのエントリーは原則必要です。

また、1日限りのイベントや就労体験を伴わない「オープン・カンパニー」や、企業がCSRの一環として実施する「キャリア教育」などのプログラムは、インターンシップとは線引きされます。どちらも学生のキャリア形成支援であることは同じですが、オープン・カンパニーやキャリア教育は、広報活動・採用選考には関わりません。短期間で実施されることが多く、学びの一環として参加しやすいというメリットがあります。

最後に、この改正の意義も理解しておこう

今回の改正の背景にあるのは、まず、自らのキャリア形成を主体的に考える意識を、早い段階から学生に醸成していく必要性です。実際に、企業の多くが、社員の自律的なキャリア形成を志向しています。また、専門的な人材の採用や育成にも注力する企業が増え、学生と仕事、学生と企業(職場)とのマッチングの重要性も高まっています。

オープン・カンパニーや就活生向けのセミナーなども含め、企業が実施するキャリア教育の場は、自分の適性や能力を知るほかに、視野を広げるチャンスとなることは間違いありません。学生の注目度もさらに高まることが予想されるため、情報を見逃さないように、志望業界や企業の動向をマークしましょう。

 

参考:文部科学省・厚生労働省・経済産業省「インターンシップを始めとする学生のキャリア形成支援に係る取組の推進に当たっての基本的考え方」 https://www.meti.go.jp/press/2022/06/20220613002/20220613002-1.pdf