採用担当者はエントリーシート(ES)に記載されている自己PRや志望動機を見て、面接に進める学生を決めます。そのため、第一志望のエントリーシートの書き方がわからないと悩んでいる就活生も多いでしょう。

この記事では、エントリーシートの書き方を紹介します。企業側の目線を踏まえて書き方のコツも解説するので、志望業界・第一志望の企業に行きたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

<目次>
エントリーシートとは
エントリーシートが就職活動において重要な理由
エントリーシートの基本構造と書き方
独自性とオリジナリティで差をつける方法
エントリーシートを書く前の前提条件
理想的なエントリーシートの書き方
エントリーシートをチェックしてもらう方法
まとめ

エントリーシートとは

エントリーシートは、就職活動中に企業へ提出する重要な応募書類の1つです。
就活後も企業で保管される履歴書とは異なり、エントリーシートは採用試験の際にのみ使われます。

氏名や生年月日などの基本情報に加え、自己PRや志望動機など、企業ごとに指定された情報を記入します。一般的に、自己PR・志望動機・学生時代に力を入れたこと(ガクチカ)の3つを中心に聞かれることが多く、企業はこれらの情報をもとに学生の人物像を把握します。

エントリーシートが就職活動において重要な理由

エントリーシートは、就活において重要な書類の1つです。企業はエントリーシートに記載されている自己PRや志望動機をもとに、面接などの次の選考ステップに進める学生を決定します。

採用担当者は、記載内容からスキルや志望度を把握するのはもちろん、文章構成や文体から論理的思考力や自己分析力もチェックしてます。
そのため、優秀な学生でも誤字脱字が多いと、注意力が低いと見なされて面接に進めないことがあります。

エントリーシートの基本構造と書き方

エントリーシートを書く際は、以下の基本構造と書き方を押さえておきましょう。

自己PR

自己PRは

「自分の強み」
「強みを裏付けるエピソード」
「その成果」

の3つの構成で書いてみましょう。
この基本構造を押さえると、スラスラ読めて強みが伝わる自己PR文になります。

企業に「この学生なら自社で活躍できる」と認識してもらえるかどうかを左右する文章なので、時間をかけて執筆するのがおすすめです。
これまでの経験や持っているスキルを振り返って、企業側が求めている学生と一致していると伝えられる文章にしましょう。

業界や職種によって新入社員に求めているスキルは異なるため、企業ごとに自己PRを作るのがおすすめです。募集要項や企業ホームページで企業が求めている人材を把握して、それにあった自己PRを作成してみてください。

志望動機

志望動機は

「志望する理由」
「その理由を裏付けるエピソード」
「入社してからやりたいこと」
「その企業でなければならない理由」

の4点を押さえて書いてみましょう。

企業が作っているサービスに興味を持つ人もいれば、企業理念や社風に惹かれている人もいます。そのため、ネット上の志望動機をコピペせずに、自分がその企業に惹かれた理由を具体的に書くと、魅力的な志望動機になるでしょう。

例えば「私はこの企業のサービスが好きです」などの抽象的な表現ではなく「この企業の〇〇というサービスの特徴や機能に魅力を感じています」のように、具体的に述べることが重要です。
このように具体的な志望動機にすると、企業名や年収だけに魅力を感じて応募してきたと誤解されることがなくなります。

学生時代に最も力を入れたこと(ガクチカ)

学生時代に最も力をいれたこと(ガクチカ)は

「力を入れた事柄」
「力を入れた理由」
「目標を達成するためにしたこと」
「その結果」

の4点を押さえて書きましょう。

採用担当者はガクチカを見て、学生の関心や能力を把握します。そのため、あなたが最も時間を費やしてきたことについて説明するのがおすすめです。

もちろん、面接官を驚かせるような実績があるのが好ましいですが、輝かしい実績がなくても問題ありません。これまでの学生生活やアルバイトを振り返って「何をしてきたか」「どのようなスキルが身についたか」を考えてみてください。

独自性とオリジナリティで差をつける方法

他の就活生と差をつけるために、独自性とオリジナリティを持たせることが重要です。

他の応募者と差をつける書き方

他の応募者と差をつけるためには、できるだけ具体的な自己PRや志望動機を書いて、他のエントリーシートと被らない独自の内容にすることが重要です。
具体的な文章を書くためには
「数値化」「なぜなぜ分析」の2つを行うのがおすすめです。

数値化とは、成果やスキルを数字で示すことです。
数字を用いることで、実績がより伝わりやすくなります。
例えば
「アルバイト先の売上を上げました」と書くよりも
「アルバイト先の売上を1.6倍向上させました」と書く方が、
信憑性が増します。

なぜなぜ分析とは、問題解決に使われる分析手法のことです。
何度も「なぜ?」と自分に問いかけることで、より具体的な文章を執筆できます。

例えば、IT企業を志望している方は、以下のようになぜなぜ分析を行います。

【質問】
なぜ、そのIT企業を志望しているのか?

【回答】
最先端の技術を使って革新的な製品を開発しているから。

【質問】
なぜ最先端の技術や革新的な製品に興味があるのか?

【回答】
大学でコンピュータサイエンスを専攻し、特に人工知能や機械学習に関心を持っていて、これから社会に大きな変化をもたらすと信じているから。

【質問】
なぜ人工知能や機械学習に特に関心を持つようになったのか?

【回答】
大学の講義で実際に機械学習を用いたアプリを開発し、その可能性と影響の大きさを実感したから。

【質問】
なぜその経験が志望動機に強く関連していると感じるのか?

【回答】
そのプロジェクトで得たスキルと知識を活かし、実際に社会に影響を与える製品やサービスに関わりたいと強く感じたから。

このように何度も自分に対して質問を繰り返すことで、具体的な志望動機が書けるようになります。他の応募者と差をつけたい方は、ぜひ「数値化」と「なぜなぜ分析」を使って、具体的な文章を執筆してみてください。

オリジナリティを出すためのアイデア

エントリーシートにオリジナリティを出した内容を入れると、他の就活生と差をつけられます。例えば、自分の趣味や特技を活かしたエントリーシートにすると、他の学生と被りづらくなるでしょう。
特に、珍しい趣味や特技を持っている方は、それらを前面に押し出すことで独自の内容になります。

ただ、オリジナリティを出すためにユーモアを取り入れた文章にするのはやめましょう。
面白い文章は人によって受け取り方が異なるため、マイナスな印象を与える可能性があります。
そのため、担当者を笑わせるような内容ではなく、自分自身の特徴や個性を取り入れた内容でオリジナリティを出すのがおすすめです。

エントリーシートを書く前の前提条件

以下の3点を押さえてから、エントリーシートを書き始めましょう。

採用担当者は膨大な量のエントリーシートをみている

企業の採用担当者は、数百から数千のエントリーシートをチェックしています。
特に人気の大企業や、採用枠が少ない有名企業の場合、応募者が募集人数の数百倍に上ることも珍しくありません。

担当者は限られた時間でエントリーシートを読む必要があるため、情報が明確で簡潔にまとめられていないと、隅々まで文章を読んでもらえません。
そのため、一目で強みが分かる自己PRや、志望度が明確に伝わる志望動機にすることが重要です。

自分の強みを見つけられていること

エントリーシートを書き始める前に、自分の強みを見つけておくことも重要です。
自己PRや志望動機は、学校生活・アルバイト・趣味などの過去の経験を踏まえて執筆するものです。
そのため、本格的にエントリーシートを書き出す前に、自分の人生を振り返って強みを見つけておく必要があります。

ただ、自分1人で強みを見つけることは難しいため、家族・友人・先輩・大学教員・アルバイト先の同僚など、周りの人に強みを教えてもらうのがおすすめです。
周りの人からフィードバックをもらうことで、自分では気づかなかった強みに気づけます。また、ストレングスファインダーやDISC分析などの、自己分析ツールを使う方法もあります。

ストレングスファインダーは、
自分自身の才能を発見して、それを強みに変えていくことを目的とした自己分析ツールです。
質問に答えていくだけで自分の才能トップ5を知れるため、自己分析をどのようにやればいいかわからないという人にもおすすめです。

DISC分析は、
自分の行動様式を
「支配性(Dominance)」
「影響力(Influence)」
「安定性(Steadiness)」
「慎重性(Conscientiousness)」
の4つに分類するツールです。
自分のコミュニケーションスタイル・仕事の進め方・ストレスの受け止め方を理解できるようになるため、自己PRや志望動機を考える際に役立つでしょう。

企業の求める人材を想像できていること

企業の求める人材を想像できていることも、重要な前提条件の1つです。
企業に求められている人材を知っていることで、エントリーシートや面接での受け答えで、採用担当者に刺さるようなアピールができるようになります。

志望企業の求める人材を把握したい人は、まず求人情報をチェックしましょう。
必須スキルや仕事内容、求めるスキルや人物像など、企業が具体的にどのような人材を求めているかが記載されています。

また、企業のホームページに書いてあるミッションやビジョンなどを確認することで、企業文化や社内の雰囲気を想像することもできるでしょう。
企業が運営しているSNSやブログがある場合は、どのような性格の人が働いているかも確認できます。

採用担当者に「自社で活躍しそうな学生だ」と感じてもらうためにも、企業が求める人材を把握してからエントリーシートを書き出しましょう。

理想的なエントリーシートの書き方

以下のポイントを押さえてエントリーシートを書くのがおすすめです。

書き始めは結論から

自己PRや志望動機などを書く際は、結論から書くように意識しましょう。
先に結論を述べることで内容が把握しやすくなり、あなたの熱意や実績がより効果的に伝わるようになります。

この方法は就活だけでなく、社会人になってからも役立ちます。
社会人は社内や顧客とやり取りすることが多いため「結論ファースト」で文章を書く人が求められています。

エントリーシートを書く際は1行目に結論を書き、その後に理由や具体的なエピソードを書くようにしましょう。
また、

結論(Point)・理由(Reason)・具体例(Example)・結論(Point)

の流れで文章を書く「PREP法」を使って文章を書くのもおすすめです。

ポイントを絞り、具体的なエピソードを例に出す

エントリーシートを書く際は、伝えたいポイントを絞って、具体的なエピソードを例に出すことが重要です。
多くのことを伝えようとすると重要なポイントが分からなくなるため、あなたの魅力が伝わらない可能性があります。

そのため、研究室、サークル、アルバイトなど全てをアピールするのではなく、特に強調したい1つのポイントに焦点を当てましょう。
エントリーシートでは文字数制限があるため、アピールポイントを絞ることでより深い内容を伝えられます。

採用担当者の立場を意識する

エントリーシートを書く際は、採用担当者の立場を意識することも重要です。
採用担当者は会社で活躍できそうな人材を採用したいと思っているため、企業側の目線になって「企業で活躍できる人材のエントリーシートになっているか」をチェックしましょう。

また、企業によって活躍できる人材は異なるため、志望業界や職種に応じた文章にすることも大切です。
例えば、求人情報をみて論理的思考力を重視していると感じたら、試行錯誤しながら実績を出したエピソードをアピールするのがよいでしょう。

提出前に採用担当者の目線になって、適切な内容になっているか、誤字脱字がないかをチェックしてみてください。

わかりやすい文章で書く

エントリーシートは、わかりやすい文章で書きましょう。
内容がよくても、読みづらい文章だと隅々まで読んでもらえません。
アピールポイントや実績が伝わらないと魅力的な学生だと思ってもらえず、書類審査で落ちる確率が上がってしまいます。

読みやすい文章にするためには

「1文を短くする」
「誤字脱字がないかを確認する」
「専門用語や難しい言葉を使わない」
「PREP法を使う」

などを押さえることが重要です。
社会人になるとメールのやり取りや提案書の作成などの機会が増えるため、今のうちにわかりやすい文章を書けるようになっておきましょう。

エントリーシートをチェックしてもらう方法

エントリーシートを完成させたら、提出する前にチェックしてもらいましょう。

大学教員にお願いする

エントリーシートを添削してもらいたい人は、まず大学教員に相談するのがおすすめです。専門分野や業界に関する豊富な知識を持っているうえに、普段から研究論文やレポートなどを執筆しているため、有益なフィードバックをいただけるでしょう。

大学教員は過去に一般企業で働いていたり、企業と連携して研究を行っていたりするため、どのような学生が求められているかも知っています。
そのため、企業の求める人材にあった自己PRや志望動機にするためのアドバイスももらえます。

ただ、授業や研究で忙しいため、すぐに添削してもらえない可能性があります。そのため、余裕を持って添削をお願いするのがおすすめです。

友人に頼む

同じ学部の友達やサークルの仲間、就活で出会った他大学の学生に添削をお願いするのもおすすめです。同じように就職活動をしている立場だからこそ、自分では気づかなかった点や改善すべき箇所を指摘してくれるでしょう。

また、仲が良い友人であれば、あなたの性格や強みを熟知しているので、より魅力が伝わる自己PRを提案してくれる可能性があります。他学部の学生であれば、一般的には理解しづらい専門用語が含まれていないかもチェックしてもらえます。

文章を書くのが得意でなくても文章が読みやすいかどうかをチェックできるため、お互いに添削をして、魅力が伝わるエントリーシートを作っていきましょう。

先輩にお願いする

すでに就活を経験した先輩からのフィードバックも有益です。
特に、あなたが志望している業界に内定をもらった先輩なら、志望動機の深掘りや効果的な自己PRの方法について、具体的なアドバイスをくれるでしょう。

在学中の1学年上の先輩はもちろん、すでに社会人として働いている先輩に添削をお願いするのもおすすめです。ただ、社会人とスケジュールを合わせるのは難しいため、余裕をもって添削をお願いするようにしましょう。

就活を経験している先輩からは最新の就活事情も知っているため、エントリーシートの添削だけでなく、模擬面接や就活の相談に乗ってもらうのもおすすめです。

まとめ

この記事では、エントリーシートの書き方を紹介しました。
エントリーシートを書く際には、これまでの経験を振り返って自己PRや志望動機を書く必要があります。

提出資料の完成には膨大な時間がかかるため、早めに取り掛かることが重要です。就活を成功させたい方は早めにエントリーシートを書き出して、余裕をもって内容の修正や誤字脱字のチェックを行ってみてください。